11

「夏樹が撃たれた……?」
 ハンドルを握りながら、もう片方の手で無線に耳を当てて声を吹き込んでいた安藤は、そう呟いた後、小野に無線を渡した。
 彼はしばらくの間、治療法について話していたようだったが、話が終わると無線を切り、安藤に返した。小野と次郎の不安げな会話が安藤の耳朶を打ったが、安藤はそれを遮り、前方に広がる道路から視線を外さずにゆっくりと口を開いた。
「……なんでここまで僕らの動きが筒抜けなんだろうな」
 いつもの皮肉のこもった口調さえ抜け切らせ、冷然と言い放った安藤はさらに言葉を繋ぐ。
「……小山田。お前まだ、朝鮮と繋がりがあるんじゃないのか?」
「やめろ、安藤」
「先生、口を挟むな。僕はその女と話してる」
 アクセルをぐいと踏み込み、安籐は後部座席に座る千絵をルームミラーで一瞥した。
「大方、一郎の顔がグリーンランドで割れたんだろう。ストレイジを一度捕捉したら、殺すために何でもするからな、あんたら朝鮮軍は。……同じステイジ・オーファンの立場を利用して、貴重な症例の一郎に近付こうとしたんじゃないのか?」
 安藤が口を閉じると、千絵は俯き、車内のどのミラーからもその表情を確認することはできなくなっていた。重苦しい沈黙を抱えたまま、車は国道への分岐に着々と近付きつつあった。
 
 朝里峠というなだらかな斜面の峠を抜け、安藤がようやく国道五号線の標識を見つけたとき、一郎たちの乗っていたらしき車は、車体を黒く焼きながらも尚、炎を巻き上げていて、それ以上の進入を拒むかのように道路に立ち往生していた。
 安藤はその手前で車を止め、小野と次郎に先に一郎のところへ行くように促し、その姿が岩壁をくりぬいたような空洞に消えたことを確認してから千絵に言った。
「外に出ろ」
 千絵は何も応えず、ゆっくりとドアを開く。
 それを見た安藤もLAVのサイドブレーキを引き、エンジンを切ってから降りた。
「……で、何か言い訳は思いついたか?」 
 腰に手を伸ばした安藤は、グロックを取り出し、千絵の顎に突きつけて言う。
 千絵は、銃口が向けられても物怖じせず、いつものような口調で言った。
「……私は同じ世代の、同じ症状を持つ人が、どんなことを考えて、どんな苦痛を感じているのか。それが知りたくて一郎と一緒に行くことにしただけ。朝鮮なんて関係ない」
「そんな話、誰が信じる」
 安藤が銃の引き金に手をかけて、さらに顎へ押し付ける力を増させた瞬間、千絵は彼の手を蹴り上げて銃を弾き落とした。支えを失った銃口は中空に向かい、放たれる。そして千絵はホルダーからナイフを一気に引き抜くと、死角となる左下からの袈裟切りを繰り出した。しかし、安藤は素早くその斬撃をかわして、遠くに蹴り飛ばされたグロックを見遣ると、ナイフを取り出した。さらに、その隙を逃すまいとした彼女の突きを弾き返す。
 
 
 
          ◆
 
 
 
 
「やけに物々しい言い訳だな……!」
 安藤は刺突を先程と同じように弾くと、思い切り千絵の腕に蹴りを入れようとした。寸前のところで躱(かわ)した千絵は、先程彼の手から離れたグロックへと走ってそれを掴み取り、安藤に向けた。
 一郎と近しいものに勘付かれたのなら、今ここで、自分に課された責務を強行するしかない。反射的にそう考えた千絵は、引き金を引こうとした。
 
 だが、引けなかった。
 ――あの後ろ暗くも優しい瞳に、もう一度自分を映してみたい。
 幼い頃から体に覚え込まされてきた反射を、初めて自分の欲求が遮った。その瞬間だった。
 同時にナイフが肩の辺りにめり込み、顔面に拳打を浴びせられた。あまりに強い打撃に、千絵の体が地面を転がる。そして何とか体勢を立て直すと、口に溜まり出した血を、自分の足元に吐き出した。左手で右肩に刺さったナイフを引き抜き、意識が朦朧としてきたのを感じながらも、安藤の攻撃に備えて身構える。
 しかし拳打の衝撃で考えのまとまらなくなり、右腕の自由を失った千絵では、彼の攻撃を防げるはずは無かった。千絵のナイフが動くより先に、彼に腹を蹴り上げられる。倒れこむことを許されずに、先程出来たばかりの肩の傷を突かれると、頭の裏に肘の殴打を受けてそのまま崩れ落ちた。今度は逆に銃を突きつけられたのを感じて、何とか起き上がろうとするが、腰に押し付けられた彼の足が最後の抵抗すら阻んだ。
「……攻撃を仕掛けてきたのに、なぜあの場で躊躇する? お前……何なんだ?」
 理解不明のものを見つけた声音が、自分の背に降りかかる。
 私にだって分からない、と精一杯の声で叫ぼうとしたとき、背を押さえつけていた安藤の気配が、突然消えた。
 
 
 
「小山田少尉、こんな所で何をされているんですか?」
 千絵は束の間の解放を感じる暇もなく、聞き覚えのある声を後ろに感じた。そして左腕を使ってすぐに立ち上がり、身構えた。
「久しぶりの対面だっていうのに、そんなに警戒しないで下さい。任務がはかどらないようなので、私が出向いただけです」
 その男、李承晩(イ・スンマン)は青色の迷彩服に身を包み、その手には朝鮮の特別部隊のみに配られるP92・朝鮮型のサブマシンガンが握られている。P92が標準程度の大きさでも、二メートルを超える巨体の中では妙に小さく見える。千絵が彼を見上げると、その顔にはいつものように冷ややかな微笑が浮かんでいた。嫌な汗が額をじっとりと濡らすのを感じながら、千絵は彼からじりじりと距離を離していく。安藤は承晩の打撃をまともに受けたらしく、起き上がる気配は無い。 
 
「さて、さっさと任務を遂行しましょうか。私が加勢すれば、仕損じるなどという事はないはず」
「ま……待って下さい!」
 今まで押し殺していたものが溢れ出して来る様な感覚がした千絵は、空洞の方へ歩き出した上官の承晩を、無意識のうちに制止していた。何なんだ、今の私は? 疑問が答えを探して、沸騰する脳内を錯綜する中、支離滅裂な言葉を繋いだ。
「まだ……まだ、やらないといけないことが残っていて」
「何を言ってるんです。あなたの任務はただ彼を殺すだけでしょう」
「……」
「任務を辞退するのですか?」
「あ……その、違……」
「はは、まさか"あの"千絵様が感情に動かされるなんて……思いもしませんでしたね。彼らなら、自分を受け入れてくれるとでも言うつもりですか……? 誰からも見放された、あなたが。父親にすら、とうの昔に見捨てられたあなたが」
「……父さんが、私を、見捨てた……? 隊長、何を……」
「……まだ気づいていなかったんですか。あなたが信じている"父さん"の命令で、あなたを誘拐して実験材料にしたのは、この私ですよ。あの母親を殺したのも、ね。防衛庁時代に培ったものが無にならないよう、あくまで被害者を演じるために。娘を実験に差し出すことで、朝鮮への誠意を示すために。あなたの"父さん"は、あなたと母親を、利用したんですよ」
 承晩が懐から取り出したのは、母のよく付けていたピアスだった。あの人が、これだけは褒めてくれたから、と嬉しそうに言っていた、ピアス。
 瞬間的に頭に血が上ったのがわかった。千絵はグロックを拾って素早く承晩に向き直り、引き金を二回引いていた。だが、彼の腹に銃弾は着弾するものの、何かに阻まれ、鈍い音を立てて弾かれた。跳弾した弾が千絵の肩をかすめ、その肩口の傷が失策をありのままに伝えていた。むき出しになっている頭部にすぐ対象を移すものの、左手にマシンガンの銃撃を受けてしまい、グロックは千絵の手から滑り落ちた。貫通せずに左手の中に留まって回転している特殊な弾薬の放つ痛みを堪えて、これ以上の被弾は許されないことを確認し、左横に跳躍する。
 しかし、安藤との戦いで既に満身創痍だった体では掃射より早く動けず、今度は足に被弾した。
「っ……!」
 P92の弾に右足の骨を抉られる感覚を味わったが、弾は尚も回転を止めない。敗北は死に直結のこの事態を肌で感じながら、想像を絶する痛みに、千絵は近くにあったLAVの残骸に背を預ける。刹那、首にとてつもない衝撃が走った。
 承晩の顔が眼前に迫る。彼が自分の首を絞める力はあまりに強く、千絵は腕を必死に振りほどこうとする。しかし果たせず、段々と遠のいて行く意識を知覚した。
 そのピアスを、返せ……! その言葉が声になることはなく、胸中で爆発した。
 
 

          ◆
 
 
 
 一郎は只のスクラップと化したLAV越しに、その男と目を合わせた。
 歴戦の勇士というだけではない、目の奥に底の見えない冷たさを宿したその男は、こちらと目を合わせると千絵の襟元を引っ掴んでいる手を持ち上げ、近くにあった木に向けて軽々と放った。彼女は何の抵抗もなく、ただの人形のように木の幹に叩きつけられ、その衝撃で開いた口の中から、多量の血液が吐き出されたのが見えた。
「あなたが一郎ですか? 日本人にしては良い面構えをしていますね。久々に楽しめそうです」
 腕の辺りに専衛軍第二師団の部隊章――部隊章が示す階級の表示から考えるに、真っ先に殺されたと言う師団長のものだろう――を身につけ、気持ちの悪い笑みを浮かべた男は、炎の消え去ったLAVの残骸を脇にどかし、こちらに近付いてくる。銃声を聞いて他の装備も持たず、腰にかけたグロックとナイフだけで飛び出してきた一郎は、足元に転がった安藤とグロックを交互に見遣ったが、状況の把握は難しかった。
「……第二師団を襲ったのはお前だな」
「第二師団……? ああ、あの凡愚な将が率いていた旭川の軍の事ですか。弱すぎて話にならなかったですね、あの方達は。まあ余興みたいなものです」
 口元に浮かべた笑みが一層深くなり、一郎は無意識に銃口をその男に向けていた。
「お、やる気ですか。私もあまり時間がありませんからね、丁度良いです。早く終わらせてしまいましょう」
 男がそう言い終わる前に一郎は引き金を引き、額目掛けて撃ったが、男はその弾丸を腕で受け止めた。いくらグロックの威力が低いといっても、人体を貫通しないほど弱くはなく、男は腕に何かを仕込んでいるという事が想像できた。
 同時にマシンガンが放たれ、一郎は自分の中に巣食う狂気に、この体を支配されることの心配を意識の外に追いやった。全身の力を集中させ、右に跳躍すると、着地と同時に走り出し、マシンガンの連射から体を逃れさせ、LAVのスクラップに身を隠して、息を整えた。
「驚いた……千絵様よりも能力を使いこなしていらっしゃるのですね?」 
 男は大した感動もなくそう言うと、再びマシンガンの掃射を始めた。その弾丸はLAVの装甲すら貫通した。一郎は素早くそれらの弾をかわし、近くにあった木に再び身を隠してLAVの奥に立つ男に牽制の弾幕を張る。
 一郎はマシンガンの掃射がこちらに近付きつつあったとき、空撃ちの音があたりに響くのを確かに聞いた。一郎はその音が男の撹乱であるかなどということは考えずに飛び出して、男の方へ駆け出した。LAVの装甲をも貫通する特殊な弾の為に、リロードの時間が長いらしく、男は駆け出した一郎を見て初めて動揺の色を見せた。一郎は二メートルを超えるであろう男の頭を狙うことはせず、防弾用の仕込が見当たらないマシンガンを持つ手と左足に何発か撃ちこみ、グロック17の弾薬を使い果たすと、男の胸に素早く右の上段蹴りを入れた。男は勢い良く後方に上体を反らすが、よろめきながらも踏みとどまった。
「……やりますね。あなたは彼が危惧した通りの逸材だ……。あなたは軍の部隊を使ってでも、殺すべき対象です」
 男は一郎の蹴りや拳打をかわしながらそう言うと、何かをポケットから取り出した。それをきっかけにして、辺りを凄まじいばかりの閃光が包んだ。
 スタングレネードの閃光をまともに浴びた一郎は、自分の目から涙が大量に零れ落ちるのを感じたが、その状態になるともうどうすることもできなかった。靄の中で銃火が煌くのを見たような気がしたが、一郎の視覚は一時的に失われ、ようやく視力が回復したときには、男は千絵の傍にいた。
 先手を打たれた一郎は、千絵を盾に後退していく男と、取り出したナイフを逆手に構えて距離を詰めていく。だがそれも、リロードの終わった銃口が千絵を捉えるまでだった。彼は何やら千絵に囁いた後、彼女の背中を強く押し出し、一郎がそちらに気を取られた隙に、姿を晦ませていた。いつの間にか起きていた安藤が、銃を連射したが、その銃弾は男の足跡を追っただけで、仕留める事はできなかった。
 
 
 一郎は右手に握ったグロックを地面に叩きつけた。男を逃したことによる苛立ちと、自らに巣食う狂気が、心の中に入り混じったことによる精神的な乱れを抑えることができず、その場にひざを着いて何度も何度も地面にグロックを叩きつける。直後、その手を、掴まれる。
「情けねえな、一郎。僕がいなかったら殺されてただろ」
「……今まで倒れてたのはどこのどいつだよ」
 閃光の中で煌いた銃火は、安藤のものだったらしい。自分の存在がこの世界から消えたような感覚からようやく開放されると、ゆっくりと立ち上がり、千絵の元へと歩み寄った。
 彼女は脛(すね)の辺りと左手に被弾していて、少しだけ開いた口からは血が滴り落ちていた。口の中を切ったのか、流れ続ける彼女の血を、一郎は自分の着ている専衛軍の軍服の袖で押さえ、袖が真っ赤に染まって手の甲を伝うようになるまで押さえていた。ようやく血の流れが止まった様に感じた一郎は、もはや流れ出たものなのか判別することができない袖ではなく、手のひらで彼女の唇の端に手を添えて、しばらく様子を見る。そして血が完全に止まったのを確認すると、千絵の体を横たえた。
 
 小野が千絵の応急処置やら弾薬の摘出やらを行っている間に、一郎は安藤の話を聞いた。その話を聞いたあとに、男が遺していった朝鮮軍のマシンガンを手に話をすると、彼の表情はいささか苛立ち気になった。お前の訊き方が荒すぎたんじゃないか、証拠もなしに問いただすからだろう、と立て続けに非難した一郎に、それじゃただの殴られ損じゃねえか、お前は人を簡単に信用しすぎるんだよ、と安藤が返す。そんな二人を尻目に、小野は千絵の症状を読み上げ始めた。
「右上腕部の裂傷に、右腕の複雑骨折、さらには左手の銃創、銃弾による右足の脛骨(けいこつ)損傷、木に叩きつけられたときに左肩の脱臼……派手にやったな、その男も。いくらストレイジと言っても、ここまでの怪我を負ったらそんなに早くは直らないな。……でも時間は全く無い、夏樹と次郎を呼んで来よう。千絵が目覚めたらすぐに出発するぞ」
 小野は、一郎との言い争いを再開しようとした安藤の腕を引っ張り、共に空洞の方へと歩き出した。おい、先生まであいつのこと信用するのかよ、という声が遠巻きに聞こえた。
 
「承晩は……?」
 彼らが空洞に消えるのを待っていたかのように、千絵はゆっくりと体を起こし、大量に飲んだ血が固まった事によってかすれた声を、必死に絞り出して一郎に問いかけた。
「あの男の事? 大丈夫、もういない……」
「そう……」 
 かける言葉をうまく見つけることが出来ない無力を恥じた一郎は、彼女の泥だらけの顔を、袖で拭いてあげた。千絵は本当に少しの間だけ笑顔を見せ、ゆっくりと立ち上がった。
 彼女は自分でも顔を拭こうとしたが、脱臼した左腕は、整骨を得意とする小野によって修復されたものの、少ししか上がらない。その様子を見た一郎は、自分の背嚢に入っている薄手のタオルを使って、顎の辺りに貼ってある湿布に触れないよう、汚れを綺麗に拭き取った。
「……ありがとう」
 彼女は一郎から目線を外し、血のこびりついた木の幹を見ながら言った。そして再び目を合わせたときには既にいつもの千絵の表情に戻っていた。
「そろそろ小樽に出発する?」
「千絵が大丈夫なら、ね」
「私は……もう大丈夫。ありがとう」
 安藤が夏樹を背負って姿を現すと、千絵は安藤たちの乗ってきたLAVに視線を移す。
「そういえば、あれ、四人用だよね。残りの二人はどうするの?」
「無理をすれば五人乗れると思うけど、夏樹は失血が酷くて寝かせておかないと駄目なんだ。次郎は身を縮めて何とか入れるとして。……僕等二人が上に乗るしかないんじゃないか?」
「上……?」
「千絵も僕も、運転は無理だろう。それに先生をそんな場所に上らせるわけには行かないし……でも大丈夫、普通の車と違ってルーフの上に乗って作業できる設計になってるみたいだから」
「そういうことね。分かった」
 次郎の声が耳に届いた。次郎はLAVの近くで早く来るように手で促していたので、二人はゆっくりと歩き出した。
 ルーフの鍵を持っていない為、普通に中から入ることができないと安藤に言われた一郎は、少し離れた位置から助走をつけて跳躍し、見事にルーフに着地した。
 そこから右足の自由の利かない千絵の脇腹の辺りを抱えて、ルーフの上に引き上げた。
「意外と高い……。でも、この手すりを掴んでれば、大丈夫だよね……?」
 千絵は助けを求めるように一郎の方を見て言った。高いところが苦手らしく、その顔はどこか青い。
「大丈夫だと思うよ。安藤が急ブレーキなんかかけたら間違いなく振り落とされるけど」
「………」
 千絵は呆れたように一郎を見た後、左手でしっかりと手すりを握って、発進する際の微々たる衝撃に備えた。
 そして車は国道を進み始める。
 一郎は後ろ背に少し太陽の光が差し込んできたことを感じながら、ゆっくりと目を閉じた。
 
 
 
          ◆
 

 
 千絵は隣で眠る一郎の存在を感じながら、耳元で囁かれた承晩の言葉を反芻していた。
 ――報告は続けてください。その報告が途絶えたときや虚偽であったとき、ストレイジを動員して対象たちとそれに近しいものの息の根を止めます。各方面に圧力をかけられている今、リスクはありますが、出来ないことではありません。
 
 父が承晩に命じて母を殺したという事実が、状況報告を拒む心を生む。しかし、そう脅されてしまえば、もうどうすることもできない。悔しさに涙が溜まりつつあるのを感じる。
 千絵は空を見上げた。




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